昨日書こうと思っていた話題なのだけど、ライブの感想を書いている内にエントリを分けた方が良いなと思ったので今日書くことにした。昨日、ライブで過ごした時間を「夢のような時間」と書いたのはもう一つ意味があってきっと夢のようにすぐに忘れてしまうんだろうな、と思ったから。
昔から、楽しかったことはすぐに忘れてしまう。過去を振り返ってみても、純粋に楽しかったことはほとんど覚えていない。高校受験とか、大学への内部進学試験で希望通り進学できた時など何かを達成した時の喜びは良く覚えているけど、そうではなくただただ楽しかったり面白かったりという記憶は少ない。
でも、嫌なことや失敗したことはずっと覚えている。小学校3年の時にちょっとしたイジメに遭った記憶を始めとして自分にとってのトラウマや大きな失敗は思い出そうと思えばいつでも自分の前に現れる。だからいつしか、楽しい思い出だけが残るようなことに時間や労力を払うことを敬遠するようになったのだと思う。自分が物欲を最も大きなモチベーションにしているのがその証左。
私が旅行嫌いなのは、思い出しか残らないから。そして、その思い出はすぐに消えてしまうから。どんなに綺麗な情景でも、ただその情景がそこにあるという認識が強くて、特別なものに感じられない。その場では綺麗に感じたり感動したりするのかもしれないけど、結局何も残らない。家族で北欧旅行に行った時、何の変哲のないように感じた町並みが写真に納めるととても綺麗に見えて初めてこんな端正な町並みだったんだなと感じた時、自分はそういう人間なんだなと思った。
ちなみに、自分が北欧旅行で一番綺麗だと感じた風景は、スウェーデンの2つ星レストランでの食事の時、食前酒の飲み過ぎで酔いメインディッシュを待たずしてダウン、レストラン前の芝生に置いてあったビーチチェアに寝転がって吐き気を堪えていた時に見た夕暮れだった。自分に情けなくなりながら、あーあ世界って広いんだなぁっていうのを感じていた記憶がある。直ぐに意識が飛んだんだけどね。
残念ながら、そんな自分の価値観が今回のライブで変わったとかそういう話ではないんだけども。ただ、きっかけがきっかけとは言えそういう刹那的な感動をもう少し追いかけてみる価値はあるのかな、と感じた。4時間がただ夢のようにあっという間に過ぎていったのは、本当に初めての経験だったから。
そうそう、「一秒でも過去はどうでもいい」っていう輝夜の台詞。初めて聞いた時はその意図を計りかねて、妹紅との対比で残酷な言葉だなぁとか思ったりもしたけど最近この言葉の意味が分かってきたような気がする。
だって、普通の人間でも同じことだから。「一秒でも過去はどうでもいい」でしょう?